バリスタのカフェがスタバを撤退させたコーヒーを知る国オーストラリア
おいしいコーヒーを飲むために。
8年間で1億4300万ドルもの赤字をだし、2008年に61店舗閉鎖。そして2014年に24店舗を閉鎖して撤退を余儀なくされた、もっとも有名なコーヒーショップをご存知でしょうか?
そうです。
スターバックスコーヒー。
スターバックスがオーストラリアのシドニーに1号店をだした2000年7月から85店舗まで展開するに至りましたが、結局、オーストラリアの人々には受け入れられずに終わりました。
なぜうまくいかなかったのか?
オーストラリアは、第二次世界大戦後、労働力不足を補うためにヨーロッパから多くの移民を受け入れました。そのなかでイタリア人系移民が持ち込んだコーヒーの文化の影響を強く受けることになります。
それまで紅茶中心だったオーストラリアでは、エスプレッソコーヒーを飲む習慣が根付いていきました。イタリア系移民によって根付いたエスプレッソが、オーストラリアのスタンダードコーヒーとして定着していたたため、スターバックスのコーヒーが浸透しなかった要因でもあります。
ちなみにエスプレッソ本場のイタリアにもスタバは進出できずにいます。
オーストラリアのコーヒー事情
オーストラリアでは圧倒的大多数の人が個人経営のカフェでコーヒーを買います。オーストラリア人は、大量生産されていないユニークなものを好むらしく、カフェにおいても特色があって独自のアイデンティティを持った店をお気に入りとするようです。
日本では、カフェをしのぐ勢いのあるコンビニのコーヒーですが、おーすとらりにおいては、1ドルのコーヒーでは個人店のスペシャルティコーヒー(高品質コーヒー)を超えることはない。というくらい個人経営カフェとコンビニコーヒーとの間に差があるようです。
オーストラリアの個人経営カフェでコーヒーを1杯注文すると4~5ドル(480~600円くらい)します。
安くはないですが、お客さんはコーヒーだけでなく、カフェでの体験も含めて買っているということです。
オーストラリアのカフェ
お客さんは、お気に入りのお店のバリスタと毎朝挨拶をし、『いつもの』コーヒーを頼む。という、こんな小さな幸せを大切にしています。コーヒーを1杯注文すると4~5ドル(480~600円くらい)でも、コーヒーが美味しくて、心を込めて淹れてくれて、忙しい朝のほんの5分だけでもほっとさせてくれる。そんな自分だけの行きつけのお店を、オーストラリアの人は持っています。
ですが、コーヒーだけを売って儲けるのは難しいので、食事がが高めに設定されています。腕のいいシェフを雇って、朝食やブランチのメニューを充実させて、採算をとるのがオーストラリアのカフェです。
しかも、オーストラリアには世界的なバリスタが多く、レベルの高いバリスタによる個人カフェが沢山あります。中には、一日中行列ができるお店もあります。
オーストラリアのコーヒーの頼み方
オーストラリアのカフェでは『コーヒーをください。』という注文はありません。
フラットホワイトなのか、カプチーノなのか、ラテなのか、ロングブラックなのか、ショートブラックなのか。そして、普通の牛乳なのか、低脂肪乳なのか、豆乳なのか。そして、カフェイン抜きなのかなど、自分好みの頼み方があるそうです。好きな人は、1日3~4杯くらいコーヒーを飲むようなので、コーヒーを愛している国ということになるのではないでしょうか。
スターバックスがオーストラリアで苦戦したのは、コーヒー文化を理解しきれず、画一されたビジネスモデルを盲信してしまったからとも言われています。
おいしさを楽しむのは当たり前ですが、もっと『コーヒーを飲むこと』を楽しんで時間を過ごしたいですね。
ちなみに、
世界の国別消費量は、
1位:アメリカ
2位:ブラジル
3位:ドイツ
4位:日本
国民一人当たりのコーヒー消費量
1位:ルクセンブルク
1年間に1人当たり2780杯。嗜好品に掛かる消費税が低く、周辺諸国からの買い物客が多いためか。
2位:フィンランド
3位:デンマーク
*アメリカ:13位
*日本:14位
となっています。