新しい本屋さんが知的好奇心を刺激すると起こる心と街の豊かさ
2014年に丸善書店にジュンク堂が吸収され、2015年に中堅書店チェーンであるリブロが、東京池袋の西武百貨店池袋本店にあるリブロ本店を閉鎖しました。
吸収されたジュンク堂は『丸善ジュンク堂書店』になり、池袋の大型書店としてまだありますが、リブロは完全閉鎖です。
もう、本屋さんが生き残れる時代ではないのでしょうか?出版不況が叫ばれている昨今ですが、売り上げを伸ばしているのは、アマゾンかFujisanなどのオンライン書店です。リアル店舗はなくなるばかりです。
と、
思っていましたが、次々と本屋さんがオープンしています。それは、今までの本屋さんというイメージの本屋さんではなく、こだわりとアイデアを持った本屋さんです。
下北沢から全国へ
B&Bがこれからの街の本屋を見せてくれます。
2012年7月に『これからの街の本屋』をコンセプトとして『B&B』が下北沢にオープンしました。毎日のトークイベントとビールを飲みながら本が読める。という目新しさを売りにし、訪れた人をファンにしています。
ヴィンテージ家具に囲まれた店内で、ゆったりとした時間の中で本を読むことができ、店のカウンターにはビールサーバーがあって、ビールを片手に本を選んだり、コーヒーを飲みながら本を読んだりできます。
過ごし方も人それぞれで、ひとりで入ってくる人もいれば、ふたりで楽しそうに話しながら本を選ぶ人もいます。店内の家具もB&Bの商品のひとつとして置いています。
掛け算の効果
B&Bの基本はかけ算での相乗効果。たとえば、本×ビール×イベント×家具。この掛け算が、私たちの知的好奇心をくすぐってくれる仕掛けになっています。これからの街の本屋さんとして必要なことは、お客さんに必要とされる本屋であるかどうか。でしょうか。
ただ、どのように必要とされるかはB&Bが教えてくれます。
B&Bでは世間一般で話題になっている本を揃えているわけではなく、お客さんが求めている本があるとは限りません。が、しかし、『何かおもしろいものありますか?』という問いに対しては応える自信がるとのこと。
本が売れないということを嘆くより、おもしろくすることに目を向けたほうが、やる気が出ますね。
B&B/内沼晋太郎(うちぬま・しんたろう)
著書に『本の逆襲』(朝日出版社/2013)、『本の未来をつくる仕事/仕事の未来をつくる本』(朝日新聞出版/2009)がある。
本とカフェとギャラリー
便利さと張り合うことが本屋にとっての最大課題ではない。という思いでオープンしたカモメブックス。目の前に本が並んでいるからこそ生まれる思いがけない「新しい本との出会い」を提供することが本屋のあり方と考えています。
お客さんと本との出会いのきっかけを様々なアプローチで提供し、継続的に楽しめるような店作りを行っています。
本屋:かもめブックス
新刊の良い本をじっくりお客様に紹介します。新しい本との出会いをもっと丁寧に提供できるように「レコメンド/感動を伝える」「リマインド/感動を想起させる」を意識した売場となっています。
カフェ:WEEKENDERS COFFEE All Right
美味しい珈琲を飲みながらページをめくる喜びが味わえます。京都の自家焙煎専門店「WEEKENDERS COFFEE」のこだわりの豆でエスプレッソが楽しめる。
ギャラリー:ondo kagurazaka
ondoは人と人が出会い新しい何かが始まるスペース。大阪の「ondo tosabori」と2拠点展開という新しい試みで東西のおもしろいモノゴトをご紹介してくれる。
泊まれる本屋
訪日外国人観光客や国内旅行者をターゲットとした新しいスタイルのホステルとして出来る予定のSHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERSが担当するBOOK AND BED TOKYO。2015年9月に東京池袋駅の西口にオープン予定。
本を読んでいたら、いつの間にかウトウト、、、、気づいたら朝になっていた。という気持ちいい寝る瞬間を体験できる本屋さんです。
スターバックスとTSUTAYAがコラボしたブックカフェやタワーレコードの TOWER BOOKSなども含め、個性的な本屋さんが次々とオープンしています。
本を読むという行為は自由です。読まないといけないこともなく、読みたいものを読みたいときに読めばいい。本を読むということを固く考えすぎていたかな?と感じさせられます。
足を運べば、知的好奇心を満足させてくれる1冊に出会えるかもしれませんね。